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番組改編 NHKに2百万円賠償命令 「政治家発言」認定

政治家の圧力があったの、なかったのと問題になったNHKの従軍慰安婦関連の番組について、市民団体が訴えていた裁判の高裁判決がでたようです。主張の左右に関係なく取材時に自分がしゃべった内容が掲載または放映される時に編集や構成によって歪曲されてしまったと主張する人たちは結構多くいます。そういう人たちには今回の判決は朗報なのかもしれません。

番組改編 NHKに2百万円賠償命令 「政治家発言」認定Yahoo!)


今回の判決では取材される側の「期待権」と取材する側の「説明責任」を認め、さらに番組の改編が製作の現場ではなく、もっと上のほうの協議によって決められたので製作会社だけではなくNHKにも賠償の責任があると認めたということのようです。
上の記事に載っている判決の要旨てやつを引用しときます。

■NHK番組改変訴訟の東京高裁判決の要旨は次の通り。

 《期待を抱く特段の事情》

 放送事業者の編集の自由は憲法上も尊重されるべき権利で、取材対象者が番組に何らかの期待を抱いたとしても、番組の編集、制作が不当に制限されてはならない。他方、どう編集されるかは、取材対象者が取材に応じるかどうかの意思決定の要因となり得る。この両面を考えると、取材者の言動により取材対象者がそのような期待を抱くのもやむを得ない特段の事情が認められるときは、取材対象者の番組への期待と信頼が法的に保護されるべきである。
 被告の説明や取材、原告の協力にかんがみれば、番組は女性法廷の判決までの過程を、被害者の証言を含め客観的に概観できるドキュメンタリーか、それに準じる内容になるとの期待と信頼を、原告が抱くのもやむを得ない特段の事情が認められる。

 《期待、信頼の侵害と理由》

 放送された番組はドキュメンタリーとはかい離し、原告らの期待と信頼を侵害するというべきである。NHKは01年1月26日、普段立ち会いが予定されていない松尾武放送総局長、国会担当の野島直樹総合企画室担当局長が立ち会って試写を行い1回目の修正がされ、修正版について現場を外して2人と伊東律子番組制作局長、吉岡民夫教養番組部部長のみで協議し、その指示でほぼ完成した番組になった。さらに放送当日に松尾総局長から旧日本軍兵士と元慰安婦女性の証言部分の削除が指示され、最終的に番組を完成しており、本件番組は制作に携わる者の制作方針を離れて編集されていったことが認められる。
 その理由を検討すると、番組放送前に右翼団体から抗議されNHKが敏感になっていた折に、予算の国会承認を得るため各方面へ説明する時期と重なり、番組が予算編成に影響を与えないようにしたいとの思惑から、説明のため松尾総局長と野島局長が国会議員と接触した際、相手から番組作りは公平・中立であるようにとの発言がなされた。2人が相手の発言を必要以上に重く受け止め、その意図をそんたくして当たり障りのない番組にすることを考えて試写に臨み、その結果、改編が行われたと認められる。
 原告らは政治家が番組に対し直接指示をし介入したと主張するが、面談の際に一般論として述べた以上に政治家が番組に関し具体的な話や示唆をしたこと
までは認めるに足りない。

 《説明義務違反と不法行為》

 番組制作者や取材者は特段の事情がある時に限り、内容や変更を取材対象者に説明する義務を負う。本件で原告は番組内容に期待と信頼を生じ、特段の事情がある。被告が説明義務を果たさなかった結果、原告は番組からの離脱や善処申し入れの手段を取れなくなり、法的利益を侵害された。
 NHKは番組改編を実際に決定して行い、放送したことから、原告の期待と信頼を侵害した不法行為責任を負い、説明義務を怠った責任も負う。NHKは制作担当者の方針を離れてまで国会議員の意向をそんたくして改編し、責任が重大であることは明らかである。



「期待権」というやつは際限なく認められるわけでは無く「特段の事情」てやつが無いと認められないようですね。

今回の場合ドキュメンタリー番組的なものだと市民団体側が思っていたので、NHK側を信頼して、そのまま放送されるだろう期待するのはあたりまえだと裁判所は認めたわけですね。

だから、ちゃんと説明しないで内容を変えたのは市民団体側の期待と信頼を裏切ることになった。説明を受けていれば市民団体側も何か対応を取ることも、出来たはずなのに、それも出来なかった。だから賠償しろってことのようです。

「特段の事情」はケースバイケースのようですが、取材される側の権利を認めたことは画期的な判決のような気がします。

従軍慰安婦問題を扱った番組のことなので政治的、思想的なことを絡めて色々言う人もいると思いますが中立的で妥当な判断だと私は思います。

だって番組を変えたのが問題なんじゃなく「説明しないで変えたのが問題」なんですから。「期待権」が生まれる「特段の事情」はドキュメンタリーとか最近問題になってる健康系の情報番組でも出てくるんじゃないですか?

「あるある大辞典」の捏造問題では海外の研究者のインタビューを字幕や吹き替えで内容を歪曲して流したと言われていますが、これなんかまさに「期待権」が生まれる「特段の事情」を研究者の人が主張できるケースじゃないでしょうか。

ただ「期待権」の乱用については「特段の事情」の基準が少し曖昧なので危惧はありますけど。

NHK特番問題:NHK敗訴 「期待権」両刃の剣 「画期的」沸く原告らMSN毎日インタラクティブ)

政治家の直接の圧力についは認めなかったようですが「意図をそんたくした」と裁判所は言っています。これは平たく言うとNHKが「特定の政治家の顔色を伺った」てことを認めたってことですね。ただしそのこと自体を悪いとは言っていません。

「意図をそんたくした」の部分は「独自の判断」というNHKの主張に対して、特定の政治家に、お伺いをたてたり、顔色を伺うような行為をしたんだから、その主張は信じられないと判断したって事でしょう。

だいたい矛盾してるんですよね、この話、説明に来たNHKの人間に安部晋三氏は「公正・中立」を求めたそうだけど、そもそも特定の政治家だけに説明しようとしたって行為自体が「公正・中立」を疑われるような行為じゃないですか。

この間、佐田行革相が辞任した時、安部晋三氏は次のように言ってるんですよね。

 安倍晋三首相は27日夜、佐田玄一郎行政改革担当相の辞任について「当然、任命者として国民に対し、責任を感じている」と述べ、自らの任命責任を認めた。その上で「(後任に)適切な人を任命し、結果を出していくことで責任を果たしたい」と述べた。首相官邸で記者団の質問に答えた。

 首相は、佐田氏から午後5時ごろ、電話で「政治資金収支報告書に不適切な記載があったので、責任を取って職を辞したい」と報告を受け、了承したと説明。「不適切な処理であればやむをえない。政治家は李下に冠を正さずということで、常に襟を正していくことが大切だ」と語った。


佐田行革相が引責辞任、後任に渡辺喜美氏Yahoo!)

「李下に冠を正さず」とは「疑われるようなことはするな」て意味なんだけどねえ。公正・中立を求めるんならNHKが自分のところに来たこと自体が公正・中立を疑われる行為だって認識はあるのかなあ?

安部内閣の支持率が下がってるそうだけど、こういう脇の甘さというか矛盾するようなことが見え隠れするからじゃないかねえ。

美しい国へ
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